大判例

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東京高等裁判所 昭和56年(ラ)19号 決定

一、本件抗告の趣旨は、「原決定を取消す。」ということであり、その理由は別紙のとおりである。

よって按ずるに、本件は、東京法務局所属公証人古原勇雄作成に係る債権者源田明一、債務者村越治助、連帯保証人村越勘造間の昭和四七年第一三六七号金銭消費貸借契約公正証書及び同法務局所属公証人中尾文策作成に係る債権者源田明一、債務者村越勘造間の昭和四七年第二三九九号抵当権設定金銭消費貸借契約公正証書について、村越勘造が昭和五三年一月七日に死亡したため、右両公正証書に承継執行文の付与を受けた債権者源田明一により、強制執行を受けた右亡村越勘造の相続人村越治助外四名が右両公正証書は村越勘造、同治助の無権代理人によって作成された無効のものであること等を理由として請求異議の訴を提起したものであるが、公正証書に対する請求異議の訴えの土地管轄は、執行債務者たる原告(本件においては抗告人)が本邦において普通裁判籍を有する地の裁判所に専属する(改正前の民訴法五六二条四項)ところ、本件抗告人の住所地は神奈川県川崎市高津区久地七一九番地であり、その住所地を管轄する裁判所は横浜地方裁判所であるから、抗告人に関する事件を分離して同裁判所川崎支部に移送した原決定は正当として是認でき、所論の違法はない。その他の抗告人の所論も、本件が専属管轄に属する以上、止むを得ないことであって、右判断を動かすものではない。

(田中 安部 岩井)

抗告の理由

本件訴状の請求異議の訴の請求原因は、(1)、被告は債権者として訴外村越勘蔵債務者に対して公正証書を有している(なお原告村越治助も債務者であるが、これは本決定と無関係なので省略する)。(2)、訴外村越勘蔵は死亡し、原告ら四名がその子供として同訴外人の債務を持分平等にて相続した、(3)、被告は原告らに債務者勘蔵の承継執行文を取得して強制執行を原告らの一部に対して開始した、(4)、よって原告らは、右債務は存在しないとして請求異議の訴を提起したものである、というものであるところ、原決定は、本訴の専属管轄が原告大津己津蔵については民事訴訟法第五六二条四項によりその住所地たる横浜地方裁判所川崎支部にあるというにある。

しかしながら民事訴訟法第五六二条第四項は債務者の普通裁判籍と定めているところ、ここにいう債務者とは判決の場合の執行力ある正本の被告に該当すべきところ、このように解すれば、本件の債務者は訴外亡勘蔵又はこれが死亡によって相続が開始した地(即ち遺産分轄訴訟の管轄)の裁判籍ということができる。

しかも本訴は、債務の発生については民事訴訟法第七五条の共同訴訟参加の要件に該当すべきいわゆる類似必要的共同訴訟ともみることができ、この確定については同一裁判所に於て共同訴訟にて審理することがもっとも訴訟経済にも適っており、また、それが当事者双方の意思及び利益にも合致している事案である。

以上の理由により原決定は、法令の解釈を誤りなしたものであり取消されるべきものであるから本申立に及ぶ次第である。

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